2014年3⽉にオープンしたサロン「Bont’e hair」の嶋⽥さん。東京・恵⽐寿のサロンで⻑い間店⻑をつとめ、カリスマ美容師とも呼ばれた嶋⽥さんは、なぜ、⽣まれ育った旭市にもどり、家を建て、サロンを始めたのだろうか。そして地元に家を建てた感想は？

「もともと、いつかは旭にもどるつもりで東京へ出ていました。⽗が化粧品店をやっていて、⾼校⽣くらいの段階では化粧品店を継ぐ決断ができなかったのですが、同じ美容の世界ということで美容師の道に進みました。タイミング的には、恵⽐寿の店に12年くらい勤めたところで祖⽗が病気になったという連絡を受けたことが、地元に戻ったきっかけだったかも知れません」。

その後、嶋⽥さんは2年間ほどかけて後任を育て、恵⽐寿の美容室を退社。⼀度、成⽥市に越して成⽥の美容室に勤めながら、旭市にもどる準備をした。家の設計プランについては、成⽥と旭を週に⼀度往復しながら確認していったという。

「家づくりについては、いちばん最初は、成⽥の住宅展⽰場に⾏ってみたんです。でも、なかなかピンと来なかったんですね。展⽰場の建物はカッコイイけれど、実際の価格をきくと驚いてしまったり。それで、旭の地元の友⼈に相談したら、東総リビングプロジェクトの存在を教えてくれて、ハヤシ⼯務店さんを紹介してもらったんです」。

「店舗の部分でいちばんこだわったのは、居心地のいい空間づくりでした。１日のお客さまをなるべく少なくして、一人一人にていねいに対応したいと考えていたので、空間の心地良さをリクエストしました。あとは、全体的にオーガニックな感じがいい、と。デザインについては、北欧の平屋の古民家のようなイメージを伝えました。古くなっても味わいが出るような感じで。それと、仕事の場所に生活感を出したくなかったので、店舗部分は平屋にしてもらったり。工務店さんに最初にデザインをつくってもらって、あとは窓枠の色などといった細かい部分を詰めて行きました。

嶋田さん宅は、店舗部分が平屋づくりで、その奥に2階建ての住居部分がある。2階建て住居のベランダも、洗濯物が外から見えないように壁を高くしてもらっているという。これも生活感が出ないようにする工夫のひとつだ。住居部分については奥さまがイメージを伝え、「シンプル」をコンセプトに設計。子どもに目の届きやすい広いキッチンやリビングは奥さまからのリクエスト。

「地元の工務店さんで注文住宅を建てて良かったのは、予算に合わせてイメージ通りの 家づくりができるように、細かくやり取りしながら、いろいろと融通を利かせてくれたところです。住居のほうも、狭い敷地なのに頑張って収納をつくってくれたり。それに、ハヤシ工務店の林さんがすごく熱い職人さんで、地元にもどってきて地元で商売を始めたいという気持ちを、熱く応援してくれました。柱や梁の構造体をしっかりつくることや、美容室はスプレーを使うのでエアコンが目詰まりしやすいこととなど、専門的なアドバイスもいろいろとしてくれました」。

嶋田さんの家は、長期優良住宅に認定されている。長期的に良い状態を保つことができること、メンテナンスがしやすいこと、一定の省エネルギー性能を満たすことなど、いくつもの項目を満たした長期優良住宅は、減税効果やローンについてもメリットが大きい。

「最初に店をオープンする前夜は、眠れないくらい不安にもなりました。でも一年経った今は、なんていうか、とても人間らしい生活ができている気がします。朝起きて、植物に水をまいたり、お客さまからいただいた苗木を育てたり。仕事の合間に野菜をとりに行って、家族とご飯を食べて、子どももいつも近くにいて、こんな生活は、東京では考えられないですから。これからも、この生まれ育った旭で、ずっとお店を続けていけたら本当に幸せです」